いないはずの誰かがいて、
いるはずの誰かがいない夢を。
紅い夜の夢を見た。
独りきりの夜の王と紅茶を呑んだ。
終わらない冬の夢を見た。
胡散臭い妖怪と鍋を囲んだ。
霧漂う森の夢を見た。
最後の鬼が、約束を果たしに還ってきた。
偽物の月の夢を見た。
炎の羽根が、空を舞った。
彼岸に咲く花の夢をみた。
大切な何かを失って、
彼女は更に夢の世界へ溶けてゆく。
神なき山の夢を見た。
ずっと、ずっと、誰かを待っていた。
天に浮く土地の夢を見た。
奇妙な少女の友人となった。
地深く封じられた夢を見た。
失ったものが、歪つな鏡に映った。
すべてを忘れる夢を見た。
なにかを封じ、ただ遊んだ。
夢の中で夢を見る夢を見た。
そしてすべてを思い出す。
夢のすべてを思い出す。
失ったものを思い出す。
でも。
「……本当にそれは、貴方の現？」
２００９年冬 コミックマーケット７７ 二日目
ネ―21a「四面楚歌」
委託
シ―34a 「ヘルメットが直せません」
ト―02a 「ふすま喫茶」
総ページ数320頁 新書 連作短編集
頒布価格 一五〇〇円
特殊カバー＋半透明帯＋袋とじ本文
イベント限定：しおり付き
夢と現が交差する、欠けた幻想郷の物語。
