きみたちは太陽(ひ)と月のようだ すこしばかり歪んだまん丸を描く。 太陽(ひ)は孤独な「丸」だ 近寄ったものがみな灰となるために、ひとり環を閉ざす。 月は閉ざされた「丸」だ 自分の影からも秘密を隠すために、鍵をかけてしまうから。 「丸」よ、きみは寂しい人だ、しかもその人生は退屈な永遠ときた 終わりがなければ始まりもわからず、同じことをくり返すだけの。 同じ永遠でも「無限大」は楽しき永遠だ 踊る二人が取り合う手を境に絶えず入れ替わり、飽きることを知らない。 「丸」と「丸」よ、きみたちも手を取り合え! そうすれば楽しい永遠がはじまる。 きみたちは太陽(ひ)と月のようだ 燃やし輝かすために炎を宿命とした。 炎がなければ太陽は命をもたず、 フェニックスは生まれてこない。 きみはフェニックスだ、しかし魂は鳥ではなく火に包まれた蝶だ その身を燃えさせずにはいられぬ、 蝶よ! きみは死なずにいられない魂の持ち主 幾たびも炎へとむかい、火にまかれるのを望む。 すべてを知りつつも炎を求める 蝶のフェニックスは炎を愛す、鳥よりもはるかに愛するために。 凍える月を溶かす、輝く夜のためにくべられる炎よ、 火がなければ揺籃(ようらん)は温まらず、「昨日」も「明日」も生まれない。 あの月は凍った揺り籠、氷の卵がそこからすべり落ち 孵りそこねた雛は微睡みながら、温めてくれる誰かを待っていた。 きみがその雛だった きみのすべては凍っていて、輝く光でさえ過去を凍らせたものにすぎない。 空しか見ていなかったフェニックスが、ある日草籠に睡るきみを見つけおりてきた その火と熱で卵は燃えだし、きみは輝きを取り戻す。 いまでも蝶が月を目指すのは、凍ったそれをわが身とともに焼き尽くすためか? それとも月が冷たい体を熱くさせるために招くのか? 炎! 炎! それこそがきみたちの生きる糧。 きみたちは太陽(ひ)と月のようだ 追いかけては沈み、沈んでは追いかける番(つがい)の仲。 どんなに偽りを重ねようとも、いくら引きとめようとも、 誰も太陽と月を引き裂けず、朝と夜は果てなく巡る。 その空の下で、人と妖(あやかし)が手を取り夜通し踊る 懐かしい夜の光の下で、新しい朝を迎えるまで楽しげに回る。 住みし里のいつかは朽ち果てるとも 奥つ城に明るい声は幽かながらも木霊す、 小さな虫でさえ知っていた 番をつくったなら寂しくないと。 だからきみたちも踊り始めた、朝な夕な ときに入れ替わり、ときに寄り添う影を交えて、 番うものたちのとどまることはなく、朝と夜を踊りあかし 生と死の弧を無限に描きつづく。 きみたちは太陽と月のようだ けれどその果てはいかなるか? 飢えた太陽が月を飲み込むようにいつかはひとりとなるか、 あるいはともに地を離れ、永久の旅路を歩むのか?
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