東の果て






 果てへ、果てへ、東の果てへ――。
 果てへ、果てへ、東の海の、その果てへ――
 鼠の騎士は突き進む。
 気高き獣は突き進む。
 果てへ、果てへ、東の海の、その果ての、世界の終わる果てへ――



        ◆


 森が崩れていく。
 新宿の街に根付いていた森が消えていく。
 獣のヒトは人へと戻り、
 樹のヒトは人へと戻り、
 全ては現実の『新宿』へと帰っていく。
 高く聳えた大樹は高層ビルに変わり、柔らかな大地は冷たいコンクリートへと戻る。
 東の海を満たしていた水は、遠くへ去っていった。
 あとに残るのは、無機質な新宿の街だけだ。
 ――リドルが終わったのだ。
 それは即ち、刈谷真季にとって東の海への航海が終わったことを意味していた。
 同時に、誇り高き騎士、リーピチープとの別れも。
 ……悔いは無い、と刈谷は思う。
 確かに、別れは悲しいことには違いない。例えば雨森 望は極端にそれを嫌う。彼女がどうして悲しい結末を拒むのか刈谷は知らない。
 それでも、思うのだ。
 別れは悲しい。しかし、悲しいだけではないと。
 リーピチープは去っていった。それは意味のない終わりではない。
 彼は、自分の思うままに生き、ついにはたどり着けたのだ。東の海の果て。アスランの国へと。
 彼は騎士の一生を終え、次の世界に向かった。
 会うことは、もう無いだろう。
 刈谷自身が、世界に別れを告げない限り。
 それは永遠にこないような気もするし、明日にでもくるような気もする。
 リドルとガーデンに触れ続ける限りは、いつかは辿り着く。
 ……刈谷 真季は読み手だ。
 未来を知ることも、作ることも、導くこともできない。
 彼女は何かが起こってからでしか対応できない。
 この先、何が待ち受けているかなど、刈谷には判らない。

 けれど――刈谷は信じている。

 いつか再び、彼との道が交差することを。
 リドルの果て、森の果て、世界の果てで、彼と再会できることを、刈谷真季は信じている。


 なぜなら――



 刈谷は踵を返し、自らの店へと向かう。
 好きだった――依存の対象であったオーナーが、結婚式パーティの突然の中止に慌てふためいている。
 今更、未練は無い。
 強さは、リーピチープから分けてもらったから。
 刈谷 真季は、もうすがる必要は無い。
 彼女はオーナーに声もかけずに店に入り、アルバイトたちに指示を飛ばす。
 指示を飛ばしながら、彼女は引き抜きの誘いを受けようと決意する。
 行けるところまで、行くのだ。
 リーピチープがそうしたように。
 彼が世界の果てを目指したように。
 刈谷も、自らの果てを目指して生き続ける。
 リドルもガーデンもすべて乗り越えて。
 いつか、世界の果てに辿り着けることを信じて。


 なぜなら――






 ポケットの中にあるナイフを握る。
 ネメシスの名を冠するそれは、彼女が騎士であったことの証明でもある。



 ――俗世の女、刈谷真季は、騎士と共に、どこまでも歩むと約束したのだから。







◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
あとがき。
やっぱりマイナー路線。Liarsoft/forestの二次創作。刈谷 真季の物語。
最初に入れたリメリックモドキはきにいってるけど、最後がいまいち。
やっぱり「物語」じゃないとキツイか……。
考慮。反省。思案。
東の果てめがけて書き続けます。


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