Q どのようなお話し?
A つまり、こういったモノを嫌う方々への物語です。
                   ――水仙花





                 肉色のメルヘン。




 昔々――今から約一世紀ほど昔――一人の少女がいました。
 もちろん少女はいつの時代にもいます。別に少女がいたことを話したいのではなく、その少女を巡る数奇な物語をお話したいのです。
 閑話休題。
 ともかく、その少女はとても心優しく、美しくい少女でした。
 捨て子で孤児という不幸な出自にも負けず、敬遠なクリスチャンとして、奉仕活動を続け、孤児に深い愛情を注いでいました。
 その姿から彼女は、いつしか孤児院のマリア、と呼ばれるようになりました。
 少女の名前は、丘 百合乃。
 彼女は、心の支えにしている人物がいました。
 名前も、姿も、歳も、性別もしらない人物。
『足長おじさん』と思っている、憧れの人が。
 その人は、孤児院での百合乃を温かく見守り、唯一の寄付支援者として百合乃を守っていました。
 もちろん、見返りなんて何もありません。
 百合乃は、手紙でやりとりするだけなのですから。
 その、まるで信仰の対象にすら値する――カミサマのような人に、百合乃は憧れてしました。
 いつか会いたい、という気持ちを胸に秘めて。


 ――サテ、ここまでならば幸せな物語です。メルヘンちっくな御伽噺です。

 しかしこの物語はメルヘンでも、情欲と肉欲の色のメルヘンです。
 幸せであっても、悲劇であり、喜劇です。
 なぜならば……ああ、なんということでしょうか。
 足長おじさんの正体は、我らが人でなし、北見市蔵だったからです。
 それでは、まっとうな物語になるはずがありません。
 無償の愛――と百合乃が思い込んでいる寄付にしても、市蔵からすれば、たんに父親の金を反抗心に任せて寄付しただけです。
 尤も――幼い百合乃の、拙いながらも汚れない誠意に当てられて、寄付を続けているのは――市蔵のかすかな良心のなせる業かもしれませんが。
 それでも……そのまま行けば、あるいは幸せだったかもしれません。
 手紙だけのやりとりで、金を送り続けていれば、誰もが幸せになれたかもしれません。
 ところがどっこい。運命はそこまで甘くなかったのです。
 百合乃は、出会ってしまいました。
 市蔵は、出会ってしまいました。
 互いに出会ってしまいました。
 マスカレヱドを鍵として、独りの男と一人の少女は出会ってしまったのです。


 サアテ皆様お立会い。
 ここから先は、滑稽な見世物劇。
 信仰と情欲に揺れる、哀れな聖母マリアの喜劇です。
 信仰と懺悔を繰り返す、心弱気少女の悲劇です。

 どうか皆様、お見逃しの無いよう――


 ……後戻りは、出来ませぬゆえ。








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↑作品を面白いと感じた方、押していただければ幸いデス↑
 次回のやる気につながりますので……感想、ひと言遠慮なくどうぞ。











完。

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