1
頼むから誰かこの子たち出してやってくれよ!
1
0
0
00
天気の良い日だった。
燦々と太陽が空にかかっていた。お日さまが地上を見ていた。空から地平を照らしていた。
晴れである。
まっこうもって暖かな幻想郷だった。小春日和とはこのことを言うのだろう。
空気がぽかぽかとしていて、誰もが眠くなるような気候だった。
春であり、晴れである。
頭の中に花が咲きそうなほどに、春である。
その春の中で、穏やかな春の中で、えっさほいさと働いているものがいた。似つかわしくない。春ならば、もっとゆったりしていればいいのに、その三人組はむしろ夏のような元気のよさで働いていた。
「サニー、もっと深く掘りなさいよ!」
「ルナこそ、手が遅いわよ!」
「二人とも頑張って〜」
「「あんたもやりなさいよ!!」
一人は月の妖精。スコップを片手に、えっちらほっちらと穴を掘っている。
一人は陽の妖精。スコップを片手に、よいさこらしょと穴を掘っている。
一人は星の妖精。スコップを手離して、穴の縁に腰掛けて二人を応援している。
言うまでもなく――三月精である。
ルナチャイルド、サニーミルク、スターサファイア。悪戯好きな三月精だ。
何をしているのかといえば、それこそ見ての通りである。
穴。
穴だ。
穴を掘っている。
深い深い――深い穴である。小さな三月精は、すでにすっぽりと全身が収まるほどに入っている。三人入ってもまだ足りない。
あきらかに、小さな妖精ではなく、それ以上のサイズを落とすためのものだった。
つまりは――
落とし穴である。
古典的な、悪戯だった。
「意外と大変なのよこれ!」
「誰よ、落とし穴掘ろうなんていったの!」
「サニーの能力をつかえば、穴に落ちやすいからでしょ?」
「掘るのが面倒なのよ掘るのが!」
ぺちゃりくちゃりと喋りながら、三妖精は穴を掘る。
確かに――サニーミルクの光を操る能力を使えば、人間は穴の存在に気付けないだろう。気付く暇もなく、穴に落ちるに違いない。
悪戯としては、完璧だった。
ただ一つ。
問題があるとすれば。
妖精である彼女たちの頭が、たどり着いていない、致命的な問題が一つだけ――――――あった。
「とにかく! あの黒白とか!」
「紅白にぎゃふんと言わせるためには!」
「落とし穴を完成させることね!」
三人は一致団結し、再び穴を掘り始める。
その、三人の。
真上を。
暖かな春の日差しの中を――
「空は良い……あったかい空は最高だぜ!」
魔理沙が歓声と共に、彼方から此方へと飛んでいった。
飛ぶ。
箒に乗って――あっという間に、飛び去っていった。
「………………」
「………………」
「………………」
沈黙。
三者三様に、沈黙。
声につられて上を見て、飛ぶ魔理沙の姿を見た三妖精は沈黙した。無理もない。飛んでいたのだ。それはつまり。
落とし穴に落ちても、飛んで逃げれるということに、他ならない。
普通ならば、自分たちが飛んで穴の外に出てる時点で、気付くべきなのだろうが――哀しいかな、彼女もまた妖精なのだ。
つまりは、馬鹿なのである。
「………………」
「………………」
「………………」
さらに、沈黙。
ずっと、沈黙。
どうしようもないほどに、沈黙して――
「「「魔理沙のアホ――!」」」
穴に向かって、声をそろえて叫んだのだった。
00
0
0
↑作品を面白いと感じた方、押していただければ幸いデス↑
次回のやる気につながりますので……感想、ひと言遠慮なくどうぞ。
その後。
チルノ「うわー! なにこの落とし穴! 誰か! たっすけてー!」
どっとはらい。
三月精について。
前回の登場回数:零
今回の登場回数:(恐らく)1
全米が泣いた
だがこの世に飢餓と貧困があるかぎり、博麗 霊夢は何度でも蘇るだろう。
SEO
掲示板
[PR]
爆速!無料ブログ
無料ホームページ開設
無料ライブ放送