こんなひぐらしなら惚れる。





 満月の晩。
 人気の絶えた雛見沢の村を、一人の少年が歩いていた。
 ある女性は彼をこう評する。

「彼の名前は前原圭一。怪奇現象……特に祟りに関してなら……そう、誰よりもエキスパートですよ」

 彼は雲ひとつ無い空を見上げて、瞳に真円の月を写して呟く。

「本当にいい夜だ。こんな夜だ拷問もしたくなるさ。静かで本当にいい夜だ」

 前原圭一はその日、園身沢の伝説に操られた男の精神を破壊する。
 彼は鬼、オヤシロサマ、その他諸々の怪奇現象とそれにまつわる弊害を口先三寸で殺していくスペシャリストだったのだ。



 そんなある日、雛見沢の実質的なトップだった園崎お魎が何者かに殺される。
 その後釜に転がり込んだのは、園崎魅音の地位を乗っ取った園崎詩音だった。

「お魎が死んでまだ一週間と経っていないのに……園崎詩音。おんたはあまりにも人でなしすぎる」

 前原圭一は右手にバット、左手にゴルフを構えて詩音と対峙する。
 鬼と化した詩音を前に圭一は叫ぶ。

「詩音ッおまえはそこまでしてッそんなにしてまで園崎家が欲しいのか!」
「園崎家は……ッ……私の物だ……雛見沢は! 私の!! 私の物だ!!」
「あんたの「眼」は汚いとても汚いんだ。当主の器じゃないね」

 そうして前原圭一は園崎詩音を突破した。
 だが、敵は詩音だけではなかった。
 その後ろにはオヤシロサマと、様々な組織が構えていたのだった!



 そんな彼らの日常を覗いて見よう。
 たとえば、放課後。
 圭一は、部活を体験しにきた後輩に向かってこう言った。

「高貴さも信念も理性もなく。
 トランプの数字を読み取ることもできない。
 イカサマの一つもできない。
 勝つためでも無いのにカードをめくり
 挙げ句運が尽きたら闘うこともしない。
 貴様それでも部活メンバーのつもりか。恥を知れ!!」

 後輩とやる鬼ごっこ。
 策略をめぐらせる高度な遊びだ。
 圭一は、後輩たちを集団でレナを襲ってわせた。

「俺の名前は前原圭一。近しい者からは「口先の魔術師」と呼ばれている」
「圭一くんががあの哀れな連中を差し向けたのかな? かな?」
「ああ、あのかわいそうな連中か。バカな先輩を持ったが故にあのザマだ。
 連中後輩が皆殺しになっても欲しいのだ。梨花ちゃんの膝枕ってやつがね」

 これもまた、日常風景。
 雛見沢ではごくありふれた光景だ。




 しかしその裏では、恐るべき計画も進んでいた。
 そして、恐るべき計画を止めようとする者たちがいた。
 公由の爺様と古手梨花も、その一員だった。
 彼らは日の光の届かぬ神社の奥で、こっそりと対談していた。

「最も恐るべき家系とは何処か。わかるかね梨花」
「……園崎家」
「そうだその通りだよ。我が御三家が一、園崎家だよ梨花。
 では何故園崎家はそれほどまでに恐ろしい?
 園崎家は欠点だらけだ。
 村外を嫌い疎開を嫌い伝統や風習が身を焼く。
 世間に眼をそむけ流行に耳をそむけほとんどの人間は村の外に出れず
 安息のねぐらは唯一ツ雛見沢だけ。
 それでも園崎家は無敵の家系と呼ばれる。
 梨花何故だかわかるかな」
「……強力な団結力がある事?」
「それは決定的ではない」
「政治力や雛見沢での権限を持ってる?」
「少々役不足だ。脅威はそれに限らん」
「望むだけで誰かが邪魔者を排除してくれる?」
「それは確かに恐るべき事だ。だが無敵とは少し違う。
 もっともっともっともっと単純な事だ」
「…………鬼?」
「そうだ。園崎家は鬼の血統なんだよ梨花。
 政治力・第六感・団結力・身体能力・知能・足音・監視網・狂気性 etc etc。
 しかし最も恐るべきはその純粋な狂気……「鬼」だ。
 人間の精神をぼろ雑巾のように引きちぎる。
 そしてたちの悪い事に園崎家はその力を自覚している。
 単一脳としてでなく彼らの理知を持って力を行使する「暴君」だ。
 鬼となった園崎との接触は死を意味する。
 いいかね梨花。園崎家とは知性ある狂った「鬼」なのだ。
 これを最悪といわずに何をいうのか」
 ……これは、雛見沢でも特殊な例だ。
 誰も、その真相を知ることは無い。
 しかし、幕はとっくに上がっていたのだ。
 誰もそちらを見ていなかっただけで。


「さあどうした?  まだ爪が三本剥がれただけだぞかかってこい!!」


(殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される。
 きっと、間違いなく*される。
 他の何にでもなく、他の誰にでもなく────
 ――ヤツは、この俺に*される)


「何故? おまえが何故と? 『園崎魅音』?
『オヤシロサマ』を実戦に投入しようなどと考えたのは後にも先にも三ツだけ。
 一ツは御三家きみら。一ツは大石等かれら。一ツはわたし。
 そして彼らの雛見沢式軍事洗脳計画は完全に粉砕された。
 この私とおまえで根絶やしにしたんじゃないか」
「……そうだそうだったな思い出したよ前原圭一」
「『拷問』とは恐ろしいこれだから」
「ふん……『拷問』すら楽しむものさ我々園原家は」



 ……夜は明けない。
 人外たちの宴は続く。
 終わりは無い。
 始まりも無い。
 延々と続くだけだ。


 昭和58年の、あの瞬間までは。


「私は誰も信じない。能力だけしか信じない。老人共は愚かだ村民共は無能だ刑事共は銃の撃ち方さえ知らない。信じられるのは唯一人自分と自分の性能だ」

 ――園原詩音。

「雛見沢住人の抵抗や心をたった一人のバカの裏切りが無残に吹き飛ばす! 私達は嫌という程骨身にしみてきた」

 ――園崎魅音。

「わからないわかりません。僕にはまだまだ『オヤシロサマ』は大きすぎる存在なのかも」

 ――北条悟史。

「私はね、可愛いものさえ貰えれば何だってやるよ。そう、それこそ、何だってやる」

 ――竜宮レナ。

「大丈夫です大丈夫ですにーにー。私は裏切りません。私はレナたちとは違う。地獄のソコまでお供しますよ

 ――北条沙都子。

「スン。もちろん。最後の一人になろうとも、ですよ」

 ――古手梨花。

「俺の武器だ。たった一ツきりの。「舌」だ」

 ――前原圭一。



 ――HIGGLASI
     
    なく頃に




「……メチャクチャカッコつけてますけど……全員まだ子どもなんスよね……」
「田舎のな」


◆ ◆ ◆ ◆ ◆
あとがき。
こんな〜惚れる。ついにひぐらしバージョンです。


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元ネタは言うまでも無くHELLSINGです。
最後の部分だけ大同人ですが。
さらに一部、そのまま抜粋しているのがありますが。
多分レナに追いかけられてるシーンか、北条戦闘シーン。
しかし……格好よすぎるな、これだと。

全体的にアレというか。
こんな村絶対嫌だ。
きっと裏では進め(略)みたいなことがあってるに違いない。







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